憲法を仕事と暮らしに生かそう自治労連埼玉県本部日本自治体労働組合総連合

統一要求書

2022春闘・自治労連統一要求書

2022年2月

各自治体首長 様

自治労連埼玉県本部 中央執行委員長  畔上 勝彦

自治労連埼玉県本部2022年統一要求書

 日ごろの住民福祉向上のためのご活躍、また引き続く新型コロナウイルス感染拡大下、住民のいのち・健康・暮らしを守るためにご奮闘されていることに敬意を表します。

 さて、この間のコロナ禍で、医療体制は逼迫し、国民の命が危険にさらされています。また、多くの労働者が職を失い、自営業者も不十分な補償のもとでの休業を迫られ、閉店・廃業を余儀なくされています。コロナ危機は、国民の格差と貧困を一層深刻化させ、コロナ禍がいのち・健康・暮らしを直撃しています。

 日本の労働者の賃金は、1997年をピークに低下し、また消費税の増税、社会保険料などの負担増、社会保障の改悪も進み、労働分配率は低下傾向にあります。一方で、大企業の内部留保は史上最高の466兆円にのぼり、コロナ禍でも内部留保を増やし続け、資産家への株主配当も激増しています。政府も経済対策として、内部留保の活用や賃上げ政策を掲げざるを得ない状況となっています。

 困難な状況の中においても、住民の生活と権利を守るのが自治体の役割ですが、「自治体戦略2040構想研究会報告」の実行や公的サービスの産業化政策により、自治体が住民の権利保障の場から企業の利益追求の場へとさらに変質させられようとしています。

 そんな中、私たちは「憲法と地方自治の本旨に基づき、住民の生活と権利を支える地方自治を実現すること」及び「自治体業務に関わる全ての労働者の雇用の安定と安心して生活できる賃金・労働条件を保障すること」を二つの大きな柱として、運動を進めています。これらを実現するため、2022年統一要求書を提出します。

 この要求書は、自治体職員の生涯の生活にかかわる要求実現、「全体の奉仕者」にふさわしい賃金・労働条件や職員制度の実現、また住民の暮らしと権利を守り発展させることを求めて、職場の要求を聞きながら、長い時間をかけてつくりあげてきたものです。そのため、要求事項は広範囲に渡りますが、誠実な回答を求めます。

 なお、回答指定日は3月9日(水)とします。

 < 要 求 項 目 >
 Ⅰ 直面する課題に対する緊急要求
  1.ケア労働者への賃上げ(処遇改善事業)についての要求
  2.新型コロナウイルス対応についての要求
 Ⅱ 自治体に働く正規労働者の要求
  1.自治体に働く正規労働者の賃金に関する要求
  2.自治体に働く正規労働者の労働条件に関する要求
  (1)人員確保に関する要求
  (2)人事制度の確立、人事評価制度に関する要求
  (3)労働時間短縮に関する要求
  (4)高齢期雇用(定年延長含む)に関する要求
  (5)両立支援制度に関する要求
  (6)労働安全衛生に関する要求
  (7)共済、福利厚生に関する要求
 Ⅲ 自治体に働く非正規労働者の要求
  1.自治体に働く非正規労働者の労働条件全般に関する要求
  2 会計年度任用職員にかかる要求
  3.その他の非正規職員に関する要求
 Ⅳ 自治体に働く公共関係労働者の要求
  1.自治体に働く公共関係労働者の賃金に関する要求
  2.自治体の公契約(入札・契約等)制度の改善のための要求
  3.自治体と公契約労働者の「労使関係」に関する要求
  4.自治体に働く公共関係労働者の雇用の安定に関する要求
 Ⅴ 自治体が地域の労働関係の模範となるための要求
  1.雇用・労働政策に関する要求
  2.労働者・労働組合(職員団体)の権利に関する要求
 Ⅵ 地方自治拡充と自治体が社会的責任を果たすための要求
  1.憲法を暮らしと行財政に生かすための要求
  2.自治体が社会的役割を発揮するための要求

 < 要 求 本 文 >
Ⅰ 直面する課題に対する緊急要求

1.ケア労働者への賃上げ(処遇改善事業)についての要求

「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策(令和3年11月19日閣議決定)」に基づく「ケア労働者の処遇改善臨時特例事業」は、該当する公務職場の正規・非正規職員について実施すること。また、公共労働者(委託・指定管理先の労働者)についても、同様に実施されるよう働きかけること。

2.新型コロナウイルス対応についての要求

 ① 新型コロナ感染症対応に係る、職員の労働条件の変更については、労使合意の上で決定すること。
 ② 正規職員と会計年度任用職員など非正規職員の間で、新型コロナウイルス対策における格差を生じさせないこと。
 ③ 科学的根拠に基づく職場における感染対策を周知し、徹底すること。その際、厚生労働省が定めた「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」など活用し、適正な感染対策が実施されているかどうか確認をすること。
 ④ 風邪症状の発症時や感染が疑われる場合の特別休暇・職務専念義務免除に関わる要件、及びワクチン接種時やその副反応発生時等新型コロナウイルス対応への服務上の扱いを整理し、周知すること。
 ⑤ 感染時の重症化リスクが指摘されている、「高年齢職員」「基礎疾患がある職員」「免疫抑制状態にある職員」に対して、勤務上の配慮をすること。
 ⑥ 感染対策にあたる医師、看護師及び保健師等の増員を行うこと。また、政府にも提言すること。
 ⑦ 業務多忙の所属等へは人員増を行うこと。また、臨時的に他所属からの応援体制を組むことはやむを得ないが、応援元所属の業務執行体制にも十分配慮すること。
 ⑧ 密が避けられない職場(保育、幼稚園、学童保育等)については、人手不足による施設閉鎖を避けるためにもこれまで以上の人的確保を講じるとともに、感染の早期発見の観点から検査キットの購入、配布を当局の責任で行うこと。
 ⑨ 新型コロナウイルス対策にとりくむすべての職員について、いのちと健康を守る立場から、最低限以下の対応をすること。
  ア)1週間の間に少なくとも1日は休日を付与すること。
  イ)11時間以上の勤務間インターバルを確保すること。
  ウ)月80時間を超える時間外勤務をした職員がいる職場については、至急増員をすること。
  エ)月80時間を超える時間外勤務をした職員については、希望を確認し医師による面談を実施の上、必要な措置を講じること
 ⑩ 職員のワクチン接種に関わり、接種を強制しないこと、また「同調圧力」による強要、接種を希望しない職員に対する差別的とりあつかい、嫌がらせ等が生じることのないようにすること。

Ⅱ 自治体に働く正規労働者の要求

1.自治体に働く正規労働者の賃金に関する要求

(1)給与政策全般に関する要求
 ① 「住民全体の奉仕者」として職務に専念できるよう「生計費原則」に基づいた賃金改善を行い以下を最低到達賃金モデルとして確立し、給料表を改定すること。
  ア)3級の場合は400,000円以上の到達とすること。
  イ)4級の場合は420,000円以上の到達とすること。
  ウ)5級の場合は430,000円以上の到達とすること。
 (※ 級は国家公務員の給料表(行Ⅰ表)を基準に表記しています。)
 ② 自治体に働く正規職員(以下「正規」)の現行賃金を月額2万5千円以上引き上げること。
 ③ 初任給を引き上げること。
 ④ 自治体の給与・人事政策に混乱をもたらしている地域手当制度の弊害を改めるよう国に対して意見表明すること。
 ⑤ 給料表構造、給与運用、昇任昇格等について、労使合意のもとに、「全体の奉仕者」としての職務を担う自治体労働者にふさわしい制度に改善すること。
 ⑥ 「人事評価制度」の導入にあたっては、労使合意なく賃金への反映を行わないこと。
 ⑦ 総務省・県市町村課による首長及び議会の権限への介入や、交付税算定等の財政措置まで動員した労使自治・地方自治への不当な介入には抗議し、労使協議・労使合意・地方自治を尊重すること。
 ⑧ 国家公務員技能労務職とは職務内容、適用法律と権利関係が異なるにもかかわらず、それを無視した行政職給料表(二)の導入は行わないこと。また、現行の給料表の引き下げは行わないこと。
 ⑨ 現業・公営企業職員の賃金交渉は、法律上「労働組合」との交渉であることを理解し、適法な「交渉」「労働協約」を厳守し、自治体の使用者として模範となる姿勢をとること。

(2)給料の改善に関する要求
 ① 非管理職級における給料表の最高号給の額を43万円以上にすること。
 ② 非管理職級における高位の基幹号給の間差額を4000円以上にすること。
 ③ 非管理職の誰もが昇格する級を行政職で係長職相当級とし、現業、医療職等についても同等職級とすること。
 ④ 遅くとも30歳主任職級、40歳係長職級、50歳課長補佐職級に格付けできるよう、当局が資質の向上に責任を果たし、公平・公正、客観的基準にもとづく昇任・昇格制度を確立すること。なお、「標準昇格モデル」を明らかにし、昇任・昇格運用を適正に行うこと。
 ⑤ 係長級職員の退職時における級を国家公務員給料表の6級相当(号給付け足しをする)にすること。
 ⑥ 国家公務員に実施されている昇給制度に見合う「昇給加算制度」を実施して、国家公務員の給与水準との比較で自治体労働者に不利益が生じない制度を整備すること。
 ⑦ 55歳以降の昇給抑制等、高年齢職員の能力を不当に低く評価する措置は行わないこと。

(3)手当の改善に関する要求
 ① 地域手当は県内すべての自治体の最低基準を県職員の実質的水準(10%)以上とするように首長間で調整すること。
 ② 扶養手当を生活実態にもとづいて改善すること。
 ③ 住居手当を生活実態にもとづいて改善すること。また、持家住居手当は、国と地方の昇給原資配分方法の相違、居住実態の相違及び今日までの制度形成の労使交渉経過をふまえて維持・充実させること。
 ④ 一時金は、期末手当に一本化し、支給月数を引き上げるとともに役職加算を廃止して一律支給にすること。当面、勤勉手当の比率を縮小し、人事評価による差別支給は行わないこと。
 ⑤ 特殊勤務手当は労働組合と協議して労働実態に合わせて改善すること。
 ⑥ 時間外手当の割増は、月45時間超から150/100とし、代替休制度については労使合意を前提とすること。
 ⑦ 退職手当の支給水準を引き上げること。
 ⑧ 職場に差別を持ち込む退職手当の調整額制度は廃止すること。廃止されるまでは、調整額制度における格差を縮小させること。

2.自治体に働く正規労働者の労働条件に関する要求

(1)人員確保に関する要求
 ① 退職時まで人間らしく、健康に、協力しあって働き続けられる人員を確保すること。
 ② 東日本大震災の教訓、頻発する自然災害及び感染症の拡大等への対応も想定し、自治体として、住民の暮らし、人権、安全・安心を保障し、公共業務としての誇りと責任をもって働くことができるように、職員の大幅な増員を行うこと。
 ③ 総務省指導を背景にした人員削減方針は廃止すること。また自治体独自の削減計画も廃止して、職員増員を行うこと。
 ④ 育児、介護、病休者、出向者等の長期休暇・休業の代替を確実に保障し、特に産休・育休の代替は、県内先行自治体を参考に正規職員を配置すること。
 ⑤ 生活保護ケースワーカー、保育士、看護師等、法律や条例により配置基準が定められている職場には、必ず基準が順守されるよう正規を配置すること。
 ⑥ 災害時など住民の安全・安心を守るために必要不可欠な現業職員の新規採用を進めること。

(2)人事制度の確立、人事評価制度に関する要求
 ① 公務の「公平性・中立性・安定性・継続性」を歪める、「能力・実績に基づく賃金・人事管理」は実施せず、自治体労働者の働きがいを喚起する人事・職場運営制度を確立すること。
 ② 人事評価制度は、情報開示、不服申し立て、苦情・救済制度、訂正権の確立などが明確にされた制度にすること。なお、実質的に労働条件に関わることから、管理運営事項として交渉拒否をせず、労働組合と協議し、合意を前提にすること。
 ③ 人事評価制度の実施にあたっては、評価者の恣意的な評価とならないように研修を充実させるなど、客観性が確保できるようにすること。
 ④ 自己申告及び本人からの申し出が尊重される定期異動制度を確立すること。
 ⑤ 人事異動内示の実施時期について、業務執行の実態に配慮したルールを確立すること。
 ⑥ 業務の企画・執行・評価の全ての段階に職員の参加を保障し、職場運営にあたっては職員会議等でコミュニケーションをはかれる体制を整えること。管理職が職員の意見を十分に聞いて業務の企画、執行、見直しを行う職場気風を培うこと。
 ⑦ 自治体内部の不正・違法な行為に対する「内部告発権」と「内部告発者の保護」を制度化すること。また、違法・不当な職務命令に対する「意見表明権」、違法・不当、重大な瑕疵ある職務命令は拒否できることを明確にした制度を確立すること。
 ⑧ 早期退職募集制度の導入については、労使合意を前提とすること。

(3)労働時間短縮に関する要求
 ① 労働時間を短縮し、通常勤務を8時30分始業、昼休憩60分、17時退庁の、1日7時間30分労働とすること。
 ② 労働時間短縮策を具体化すること。
  ア)月100時間以上、2~6か月平均80時間超、年間720時間超の場合は労働基準法違反であり、直ちに改善策を示し実行すること。
  イ)労働安全衛生法第66条の8の3に定める厚生労働省令及び厚生労働省が定めた「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を踏まえ、職員の労働時間の実態を適正に把握すること。
  ウ)時間外労働規制を具体化するための人員配置の見直しと職員定数増を行うこと。
  エ)全ての職場での36協定締結に向け、労使協議を行うこと。
  オ)時間外労働は、1日2時間、1週5時間、月15時間、年間120時間以内に制限すること。早急に、月45時間及び年360時間を超える職員・職場をなくすこと。
  カ)いわゆる「他律的業務職場」の指定は、労使合意の上で行うこと。また、「長時間労働を抑制し、労働者の健康を確保するとともに仕事と生活の調和がとれた社会を実現する」という改正労働基準法(2018年6月29日成立)の趣旨から逸脱しないようにすること。
  キ)労働基準法第33条第1項(災害等の自由による臨時の必要)の拡大解釈が行われないよう、法改正も視野に時間外勤務の上限規制が実効性あるものとなるように対応すること。
  ク)「過労死等防止のための対策に関する大綱」に記されている「インターバル制度導入の目標」の主旨に沿って必要なとりくみを推進し、直ちに終業時から始業時まで11時間以上のインターバル規制を義務化すること。
  ケ)年次有給休暇の「5日取得義務化」に伴い、促進対策を具体化し、取得日数が少ない職場があれば取得日数を増加させる対策を講じること。
  コ)夏季休暇、リフレッシュ休暇等の制度を確立し、日数を増加すること。
  サ)病気休暇は、治療に要する十分な日数を保障すること。
 ③ 時間外・休日勤務手当等を完全に支給し、違法な不払い残業の根絶をはかること。
 ④ 年休等の休暇が取得しやすい職場環境にすること。
 ⑤ 休憩時間を完全に取得することのできる人員配置及び業務執行体制を確保すること。
 ⑥ 勤務時間の割振りの特例(2015年人勧による「フレックスタイム制」)は、人員不足・過密労働環境のもとでは職員の生活リズムを壊すものであり、自治体の勤務実態にも合わない制度であることから、導入しないこと。
 ⑦ 時差勤務制度の実施は、労使合意を前提とすること。既に実施している場合には、真に職員の健康保持を目的とし、単に時間外勤務手当の削減をするためのものとせず、対象業務の限定、本人同意、十分な時間をおいた事前周知等を最低条件とすること。
 ⑧ 災害出勤時の休日・休暇は労働者の権利と健康・福祉を基本に、労使合意のルールを確立すること。
 ⑨ 週休日と休日の災害出勤における振替・代休の取り扱いは、本人の希望を尊重し、濫用・強制は行わないこと。
 ⑩ 労働基準法第41条の管理監督者についても、労働安全衛生のための労働時間管理を行うとともに、勤務の実態にもとづいた手当制度にすること。  

(4)高齢期雇用(定年延長含む)に関する要求
 ① 定年年齢の延長に伴う高齢期雇用の制度設計については、労使合意で行うこと。
 ② 定年延長制度構築にあたっては、昨今の労働力不足のもとで、住民のために知識・技術・経験が活かされ住民のために働く意欲が高まる制度とすること。
 ③ 定年まで、誰もが安心して働き続けられるためにも、新たな職の開拓、職場環境の改善を図ること。
 ④ 定年年齢引き上げ中も一定の新規採用者を確保するため、定数条例を改正する等の対応をとること。また、中長期的視点に立った定員管理に関する方針について、労働組合に提示すること。
 ⑤ 60歳年度末後の職員の賃金は、健康で文化的な生活が営める水準とし、職務の内容・職責及び蓄積された知識、能力、経験にふさわしいものとすること。
  ア)60歳を超えても引き続き同一の職務を担う場合には、給与水準は維持すること。
  イ)60歳以後の給与水準は、職務・職責に応じたものとし、画一的な引下げを行わないこと。
  ウ)生計費原則に反するような給与水準の引下げは行わないこと。
 ⑥ 定年延長に伴い、60歳まで標準的な昇給制度となる見直しを行うとともに、55歳昇給抑制・昇給停止はやめること。
 ⑦ 年齢のみを唯一の理由として降任させる役職定年制の導入は慎重に行うこと。
 ⑧ 定年延長制度導入とともに、定年前短時間再任用制度を制度化し、暫定再任用制度とともに希望する職員は全員を任用すること。
 ⑨ 高齢期になっても安心して働き続けられる職場づくりのためにも、定年延長制度導入を機に、平成16年に地方公務員法で導入された高齢者部分休業制度の導入、運用を行うこと。
 ⑩ 再任用制度の基本原則について
  ア)定年の延長を展望するとともに、雇用と年金の接続、生計費保障を大前提とし、60歳以降に年金の完全不支給者となる者を対象とした制度(以下「新再任用制度」)と60歳以降の部分年金受給者を対象とした制度(以下「旧再任用制度」)を整合性あるものとして確立すること。
  イ)高年齢者雇用安定法の改正、閣議決定(2013.3.26「国家公務員の雇用と年金の接続について」)及び総務副大臣通知(2013.3.29「地方公務員の雇用と年金の接続について」)の趣旨を踏まえ、希望者全員を再任用する制度にすること。なお、本人が希望する場合には外郭団体、民間等への再就職についても可能な制度を確立すること。
  ウ)役職者・非役職者にかかわらず一律の再任用制度とすること。
  エ)非再任用者も含めた、職員全体の「生活権」「労働権」「生きがい・働きがい」「自治体職場のあり方」「民主的な職場運営のあり方」の視点から、職員全体の意識改革を図るともに、高齢期職員のやりがいにつながる制度を検討すること。
 ⑪ 再任用職員の給料・手当制度について
  ア)再任用職員の給料額は、定年退職前の概ね7割以上とし、労使交渉で決定すること。
  イ)定年延長も含めた高齢期雇用制度の未確定の状況を踏まえて、当面は次の額にすること。
   ⅰ)新再任用制度適用者は国公5級に準じた再任用給とすること。
   ⅱ)旧再任用制度適用者は国公3級に準じた再任用給とすること。
   ⅲ)短時間勤務職員の場合はフルタイムとの勤務時間数の比率に基づく額にすること。
  ウ)諸手当については、原則として定年退職前と同様の制度を適用すること。
   ⅰ)期末勤勉手当は、60歳前職員の基本となる月数を支給すること。
   ⅱ)扶養、住居手当は、60歳前職員と同様の制度とすること。
   ⅲ)通勤、特勤手当は勤務の実態に基づいて支給すること。
   ⅳ)その他の手当は交渉で決定すること。
 ⑫ 勤務時間について
  ア)新再任用制度はフルタイムを原則とし、困難業務または本人の希望がある場合は「4分の3勤務」または「2分の1勤務」等の短時間勤務も可能とすること。
  イ)旧再任用制度は、フルタイムの「4分の3勤務」または「2分の1勤務」等の短時間勤務を基本に、職務の必要性と本人の希望がある場合にはフルタイムとすること。
  ウ)社会保険適用対象者の拡大を理由に、本人の意に反する勤務時間の短縮は行わないこと。
 ⑬ 再任用者の調査、職の新規開拓と職場体制の整備について
  ア)年度ごとの定年退職者数を、新再任用制度、旧再任用制度ごとに明らかにすること。
  イ)継続勤務困難職種を明確にして対応策を策定すること。
  ウ)再任用のための新たな職の開拓を行うこと。
  エ)60歳以降も働き続けられるように、職場環境の改善をはかること。
  オ)高齢期雇用が社会的に求められていること及び長期の公務経験を活かした高齢期労働生活の有用性について周知し、職場における活用体制を整えること。
 ⑭ 公共サービスの維持と定年退職前職員の働き方にも配慮した実効ある再任用制度を確立すること。
  ア)新規採用の長期計画を策定し、各年齢区分において均衡を保てるようにすること。
  イ)再任用職員は定数外とし、定数管理の別枠を設けて、継続的に新規採用を行うこと。
  ウ)すでに非正規や委託労働者が就労している職との競合が生じないように配慮し、職場体制の充実をはかる視点で制度を運用すること。
 ⑮ 再任用制度の周知状況、職員の理解及び改善課題について情報交換し、労使合意による制度運用を行うこと。

(5)両立支援制度に関する要求
 ① 仕事と育児・介護等の両立を支援する制度に関する利用の手引き(例:人事院作成の両立支援ハンドブック)を作成し、周知すること。
 ② 妊娠・出産・育休又は介護を理由とする不利益取り扱い(マタハラ等)防止を周知・徹底させること。そのためにも、「妊娠・出産・育休又は介護に関するハラスメント防止のための要綱」等を整備するとともに、権利取得を妨げないよう相談・対応が可能な体制を整備すること。
 ③ 共働き者に対する早期退職の強要や昇任・昇格抑制などの差別を行わないこと。
 ④ 「育児のための短時間勤務制度」は安易な導入をせず、本人の選択権の保障、不利益取扱の禁止、代替職員の確保など、実効性ある制度として確立すること。また、詳細は労使合意のもとに決定すること。
 ⑤ 育児休業・介護休暇に関わる所得保障の拡大、共済掛金・社会保険料等の免除、給与に係る不利益扱いの撤廃をするなど、家族責任の行使にともなう不利益をなくすこと。
 ⑥ 女性活躍推進法・次世代育成支援対策推進法にもとづく「特定事業主行動計画」の策定・改定・具体的推進については、労働組合と協議して実効ある手立てを講じ、実施状況の検証をすること。
 ⑦ 有給での育児休業や介護休暇等の制度を拡充し、男女ともに取得しやすい環境を整備すること。
 ⑧ 性別にかかわらず、不妊治療のための休暇制度を確立するとともに、取得がしやすい職場環境を整えること。

(6)労働安全衛生に関する要求
 ① 事業場を構成するすべての雇用形態の職員が参加する安全衛生委員会を設置し、委員会の月1回以上開催や職場巡視を行うこと。委員会では、労働安全衛生規則に定められた付議事項についての調査審議、職員への周知を進め、委員会の議事に基づき労働安全衛生を強化すること。
 ② 労働安全衛生委員会の設置、管理者・推進者配置など労働安全衛生法を遵守するとともに、厚生労働省「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」(1992年7月1日労働省告示第59号)等にもとづいて、実効ある労働安全衛生事業を実施すること。
 ③ 長時間過密労働をなくし、「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」(2006年3月17日)」「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(2006年3月31日厚労省労働基準局長通知)及び「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(2017年1月20日)に則った対応を行うこと。
 ④ 「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(2021年12月1日)など、厚生労働省の指針をふまえ、IT時代の「労働安全衛生」対策を抜本的に強化すること。
 ⑤ メンタルヘルス対策として、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づき、「心の健康づくり計画」「職場復帰プログラム」の作成など、実効ある対策に取り組むこと。
 ⑥ セクハラ、パワハラ防止のための啓発活動に取り組むとともに、労働組合が参加した苦情処理機関を設置するなど、セクハラ、パワハラ防止制度の確立・改善に取り組むこと。
 ⑦ パワーハラスメント対策として、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(2020年1月15日厚労省告示第5号)」及び「人事院規則10―16(パワー・ハラスメント の防止等)」に基づき防止指針を定めて実効ある対策に取り組むこと。
 ⑧ 首長による、「パワハラは許さない」旨の宣言をし、職員に周知すること。
 ⑨ ⑧に伴い、適正なパワハラ指針の制定又は改定、及びその周知、研修の実施をすること。
 ⑩ 弁護士など第三者を活用した、相談・申出体制を整備すること。
 ⑪ セクハラを防止するため、厚生労働省の「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(2020年1月15日厚労省告示第6号により最終改正)に基づく措置を取るほか、実効ある対策に取り組むこと。
 ⑫ 労働安全衛生法によるストレスチェックは、職場環境の改善やメンタル不調の早期発見に生かし、その結果が職員の不利益とならないようにすること。
 ⑬ 公務(労働)災害が発生した場合は、適切に公務災害認定申請を行い、労働基準監督署には必要な報告を行うこと。

(7)共済、福利厚生に関する要求
 ① 公務員制度の一環としての共済制度・福利厚生の維持・拡充に積極的に取り組むこと。
 ② 年金の支給水準を引き上げるよう国に要請すること。また、年金積立金の運用については、安全を第一に考慮するよう国に要請すること。
 ③ 後期・前期高齢者医療への拠出制度による短期財源率の負担増に反対し、国に改善を要請すること。
 ④ 地方公務員法第42条に基づき、使用者(=首長)の権限で実施すべき職員の福利厚生事業を充実させること。

Ⅲ 自治体に働く非正規労働者の要求

1.自治体に働く非正規労働者の労働条件全般に関する要求

(1)基本賃金に関する要求
 ① 非正規の最低賃金を、時給1,500円以上に引き上げること。
 ② 自治体に働く臨時・非常勤職員(以下「非正規」)の賃金を月額2万5千円以上、時給150円以上引き上げること。

(2)格差改善に関する要求
 正規との格差を解消し、「生活給保障」「均等待遇」を基本にした賃金制度に改善すること。また、正規と同等の業務を担う非正規について、職務の実態にふさわしい賃金を保障すること。当面、同種の正規の地域手当を含めた賃金の8割以上の水準に引上げること。

(3)手当改善に関する要求
 非正規の賃金改善のために、労働時間に比例した正規との「均等待遇」「平等取扱」が確保されるように法整備と地方自治法第203条の2の改正を国に提言し、また、人事院・人事委員会が積極的な改善勧告を行うように働きかけること。

(4)雇用原則に関する要求
 ① 反復継続雇用してきた非正規は、恒常的業務を担う労働者であることを認め、「雇用期間満了」を口実に「雇い止め」を行わず「雇用期間の定めのない労働者」として処遇すること。
 ② 自治体都合による施設の統廃合などで生じる雇用問題では、雇用保障を確実に行うこと。
 ③ 任期付常勤職員・任期付短時間職員制度は安易に導入せず、労使合意を尊重すること。
 ④ 正規と同様の業務に従事する非正規は正規として採用すること。

(5)雇用の安定に関する要求
 ① 合理的理由のない任用更新回数の上限設定は行わないこと。特に、「有期労働契約の反復更新の下で生じる解雇に対する労働者の不安を解消することにより、労働者が安心して働き続けることが可能な社会の実現を図る」という労働契約法改正の主旨に反する5年以下での雇い止めは行わないこと。
 ② 年度をまたぐ公務災害療養中、私傷病休暇中、産前・産後休暇中、育児・介護等休暇中の年度職員の療養や休暇の権利が保障され、制度の実質が確保される運用を行うこと。
 ③ 非正規の雇用と年金の接続をはかるため、正規との均等待遇を基本に、高齢期の雇用と生活を保障する制度を確立すること。

(6)その他の勤務条件について
 ① 非正規の労災・公務災害補償(申請)を適正に行うこと。
 ② 労働災害に被災した非正規の雇用、生活補償は使用者である自治体が責任をもって対応し、被災を原因とする労働能力低下を理由に、雇い止め、意に反する配置替え、賃金・労働条件の引き下げを行わないこと。
 ③ 育児介護休業法、人事院規則10-11に規定されている「所定外労働の免除」「時間外労働の制限」「深夜労働の制限」を順守すること。
 ④ 「Ⅱの2の(5)両立支援制度に関する要求」及び「(6)労働安全衛生に関する要求」については、非正規労働者についても同様に対応すること。
 ⑤ 研修・福利厚生については、正規職員に準じて制度整備を図ること。

(7)社会保障制度について
 ① 公務上の負傷・疾病については、休暇、任用、生活補償を使用者である自治体が責任を持つこと。
 ② 市町村職員共済組合への加入資格を満たす者については、その加入を円滑におこなうこと。共済組合加入までの間は、現行の社会保障・福祉・共済制度を維持すること。
 ③ 協会けんぽ・厚生年金保険・雇用保険への加入資格を満たす者については、その加入を円滑に行うこと。加入を回避するための意図的な労働時間の調整をおこなわず、制度を順守すること。

2 会計年度任用職員にかかる要求

(1)任用の原則について
 ① 基幹的・恒常的業務であって、フルタイム勤務であることが住民の福祉の増進にかなうものについては、任期の定めのない常勤職員でおこなうという公務運営の原則を順守し、正規職員を配置すること。
 ② 正規職員の会計年度任用職員への置き換えは行わないこと。
 ③ 業務の実態としてフルタイムの職員を配置する必要がある職には、フルタイム会計年度任用職員を配置すること。
 ④ 同一の業務に複数の非正規職員を配置(いわゆるリレー勤務)し、その総和が7時間45分以上となる業務については、正規職員を配置すること。
 ⑤ 民間非正規労働者に適用されている労働契約法第17条から19条及びパート有期雇用労働法の主旨を活かし、任用の安定と不合理な格差是正をはかること。
 ⑥ 毎年度の任期満了の際は、その業務に従事してきた職員の貢献を評価して任用を継続すること。
 ⑦ 「再度の任用」に年数制限を設けないこと。とりわけ「任用機会の公平化」等を口実にした任用年数制限(雇止め)で、会計年度任用職員の働く権利、生活する権利を奪わないこと。勤務継続による職務能力向上が、職員不足で困難をかかえる職場において、行政上も重要となっていることを理解すること。
 ⑧ 1週当たりの勤務時間が30時間以上である会計年度任用職員パートタイムの職で、フルタイムとすることで住民の福祉の増進にかなう職、フルタイムとすべき業務量がある職については、会計年度任用職員フルタイムとすること。
 ただし、本人の希望や都合により、現行の勤務時間を希望する職員については、その意思を尊重し、パートタイムとして任用すること。
 ⑨ 会計年度任用職員パートタイムについては、業務内容・量に見合った適切な労働時間を設定すること。
 ⑩ 社会保険適用逃れ・リレー勤務などコスト削減を目的とした短時間勤務配置はおこなわないこと。
 ⑪ 会計年度任用職員の条件付き採用を理由とする解雇の濫用はおこなわないこと。
 ⑫ 「公募」は、新規採用や不足する人員についてのみ行うこと。
 ⑬ 「公募」を行う場合でも、実務経験に十分配慮した方法とすること。
 ⑭ 会計年度任用職員パートタイムの「兼業」については、公共の福祉に反しない限り、職業選択の自由を尊重すること。なお、「兼業」させるにあたっては、1日8時間、週40時間、週休保障を原則とするとともに、財政都合を優先した任用・働かせ方をさせないこと。
 ⑮ 「兼業」にあたって、届出をさせる場合には、許可を前提に、労働者の自由を奪う取り扱いはしないこと。

(2)賃金について
 ① 基本賃金について
  ア)給料・報酬は月額給を基本とすること。なお、パートタイムについて日給、時間給とする場合は、その根拠を明確にし、労使合意を図ること。
  イ)給料表は、正規職員の行政職給料表1級から3級の複合表とすること。
  ウ)会計年度任用職員の初任の給料額は、国公(行Ⅰ)表の1級10号以上を最低基準とし、地域手当相当額を加算すること。
  エ)資格職・専門職の会計年度任用職員の初任の給料(報酬)は、同種の職務の正規職員の初任の給料月額に地域手当の率を乗じた額を加算した額を最低基準額とすること。
  オ)会計年度任用職員の昇給は、週30時間以上の勤務者は4号、週20時間以上30時間未満の勤務者は3号、週20時間未満の勤務者は2号を最低限とし、昇給上限は設けないこと。
  カ)制度創設以前から在職している職員については、勤務年数に応じた前歴換算をおこなった上で新給料への格付けをおこない、新制度移行時の賃金を上回る格付けにすること。
 ② 手当について
  ア)正規職員に支給している手当についてフルタイム・パートタイムにかかわらず、全て同水準で支給すること。
  イ)会計年度任用職員の一時金については、期末手当2.4月分に正規職員に支給されている勤勉手当1.9月分を含め、合計4.3月分を期末手当として支給すること。
  ウ)費用弁償は、正規職員と同等とすること。勤務日数が少ない場合は、実費支給とすること。交通用具利用者の費用弁償については、正規職員と同等の支給基準で、勤務日数に応じて公平に支給すること。
  エ)パートタイムであっても、正規職員・会計年度任用職員フルタイムとの均等待遇の視点から、自治体独自の退職金支給制度を創設すること。

(3)休暇・休業制度について
 ① 年次有給休暇について
  ア)年次有給休暇は任用初日から付与すること。
  イ)年次有給休暇の付与日数は次のとおり改善すること。
   ⅰ)1週間の所定労働時間が30時間以上の職員には、任用当初から20日付与することとし、最低でも下表の日数以上を付与すること。

勤続年数当初~1年~2年~3年~4年~5年
付与日数12日14日16日18日20日

   ⅱ)1週間の所定労働時間30時間未満の労働者については、最低でも下表の日数以上を付与すること。

勤続年数当初 ~1年~2年~3年~4年~5年
週所定 労働日数年間所定 労働日数
217日~ 1214161820
169~216日10111316
121~168日1012
73~120日
48~ 72日

  ウ)労働基準法に基づく繰り越し、勤務年数加算をおこなうこと。
  エ)現在在職している職員が引き続き任用される場合、現制度の下で付与されている年次有給休暇は、労働基準法に基づいて繰り越すこと。
 ② 病気休暇(公務・私傷病を問わず)は、正規職員に準じて制度を整備すること。当面、公務傷病か私傷病かを問わず最低3日の有給休暇とし、私傷病による病気休暇取得期間は最低30日とすること。
 ③ 特別休暇について
  ア)フルタイム勤務者については、正規職員に準じて整備すること。
  イ)パートタイム勤務者については、勤務日数、勤務時間をふまえ、フルタイム勤者との均衡に配慮して、公平な休暇制度を整備すること。
  ウ)フルタイム、パートタイムを問わず、正規職員が有給としている休暇については、同様に有給休暇とすること。特に、感染症り患に関する休暇については、早急に、必要な日数を有給で措置すること。   
 ④ 両立支援制度について
  ア)令和4年1月1日以降、拡充される両立支援制度については、国に遅れず、会計年度任用職員に対しても適切に実施すること。
  イ)介護休業(暇)・介護時間は、正規職員との均等待遇を基本に、勤務時間、勤務日数をふまえ、公平な制度を整備すること。
  ウ)育児休業、育児部分休業、育児短時間勤務制度を、正規職員との均等待遇を基本に、勤務時間、勤務日数、勤務実態をふまえ、公平な制度を整備すること。

(4)人事評価制度について
 全体の奉仕者としての職務能力の向上に役立つ制度とし、任用、賃金、労働条件を左右するような制度とはしないこと。

(5)会計年度任用職員の社会保障について
 ① 自治体財政を優先させた任用によって、労働者の社会保険制度適用の不利益が起こらないよう、採用担当課への周知徹底を図ること。
 ② 社会保険加入要件を満たすはずの労働時間が必要な職について、財政負担増や社会保険加入を逃れるためのリレー任用はしないこと。
 ③ 2022年10月から、週勤務時間20時間以上、2カ月を超えて任用される職員についても、市町村共済組合への加入資格が緩和されることに伴い、加入手続きもれのないよう対応すること。
 ④ 退職手当給付の支給対象となる会計年度任用職員フルタイムは、退職手当給付適用後、雇用保険対象外となることから、自治体財政都合による、保険脱退で不利益を受ける非正規職員をつくらないよう、採用担当課への周知徹底を図ること。

3.その他の非正規職員に関する要求

(1)臨時的任用職員について
 ① 新制度における任用厳格化の主旨を踏まえ、「正規職員に欠員が生じた場合」のみの任用とすること。
 ② 労働条件は正規職員に準じること。

(2)任期付職員について
 ① 現在、正規職員を配置している職について、任期付職員の導入はしないこと。
 ② 導入する場合には、正規職員同等の労働条件を保障すること。昇給・昇格についても同様とすること。
 ③ 任期満了で機械的に雇止めにせず、事業(事務)が引き続き存在する場合は、業務に従事してきた職員の貢献を評価し、任用を継続すること。任用を継続する場合は、昇給を継続しておこなうこと。
 ④ 任期付短時間勤務職員の給料は、任期付職員フルタイムの給料をもとに時間数に応じて按分した月額給にすること。また、手当についても同様とすること。
   休暇については、任期付職員フルタイムの休暇を基準に、勤務日数、勤務時間を配慮し、公平な制度整備を図ること。

Ⅳ 自治体に働く公共関係労働者の要求

1.自治体に働く公共関係労働者の賃金に関する要求

(1)基本賃金に関する要求
 ① 公共関係労働者の産別最低賃金を時給1,500円以上に引き上げるための施策を実施すること。 
 ② 委託、指定管理、派遣など、自治体業務で働く労働者(以下「公共関係労働者」)の賃金を月額2万5千円以上、時給150円以上引き上げるための施策を実施すること。
 ③ 埼玉県最低賃金以下の職場がある場合、または労働者から是正の申し出があった場合は直ちに指導し、改善すること。

(2)人件費に関わる委託料の積算制度に関する要求
 ① 委託料・予定価格の積算(以下、指定管理料も含めて「委託料」とする)にあたっては、「生活給保障」「自治体正規との均等待遇」の理念を尊重すること。
   少なくとも、委託料の積算を理由に、受託業者が労働条件を改悪したり、社会的水準を下回ったりすることを正当化する口実とならない水準を確保すること。
 ② 委託料の積算は、直接人件費(必要な人員数、給料・一時金・諸手当等、労働者負担の社会保険料・労働保険料等)と、間接人件費、直接・間接事業費、販売管理費等を分離して、直接人件費額を明示し、入札前に公表する仕組みとすること。
 ③ 委託契約にも客観的・科学的な積算根拠を導入すること。とくに、労働条件の法令遵守、休暇取得の保障、公共サービスの質確保、労働者福祉の向上のために「必要な人員数」を明らかにし、これをもとに積算する仕組みを確立すること。
 ④ 最低制限価格を、人件費を除いた事業費、販売管理費等のみで算出し、積算された人件費が確実に労働者の賃金となるように公契約制度の適正化を図ること。

2.自治体の公契約(入札・契約等)制度の改善のための要求

(1)公共関係労働者の雇用、賃金、労働条件について、会計年度任用職員など同種の自治体労働者との均等待遇を原則に入札・契約制度を整備すること。

(2)不公正入札・ダンピング入札による雇用破壊、労働条件と公共サービスの低下を招かない制度を整備すること。

(3)総合評価方式を活用して、価格競争だけでなく、ⅰ)当該業務の質・付加価値向上の提案内容と体制整備状況、ⅱ)労働者の長期・安定雇用施策の状況、ⅲ)受託業務の性格と公共業務にふさわしい賃金・労働条件の確保状況、ⅳ)労働法令遵守と労働基本権を保障する姿勢と施策の状況、ⅴ)地域経済貢献、地元企業育成の視点での取組状況、ⅵ)環境・防災・個人情報等の総合的課題への取組状況、などから総合的に評価して選定する制度を整備すること。

(4)公契約適正化、公契約条例制定に向けた「検討の場」を設置し、労働組合等からの「意見聴取」の機会を設けること。

(5)委託・指定管理にあたっては、労働関係法令が遵守され、違法・不当な雇用管理、労働条件決定が行われない制度にすること。委託・指定管理後も現場調査等を行って事業の質(住民サービス)と雇用・労働条件の履行状況を点検すること。

3.自治体と公契約労働者の「労使関係」に関する要求

 公共関係労働者の雇用・労働条件は、公契約によって拘束されることを踏まえ、公共関係労働者の実質的な使用者(背景使用者)としての立場にあることを認識し、責任ある対応をすること。

4.自治体に働く公共関係労働者の雇用の安定に関する要求

(1)解雇・雇止め防止に関する要求
 ① 契約先変更を原因とする解雇・雇い止めを防止する手立てを講じること。
 ② 公共業務で解雇・雇い止めが発生し、当該労働者から安定・継続雇用の要望があった場合は、労働者の雇用・福祉への責務を全うすること。
 ③ 長期継続契約を締結する際には、少なくとも契約期間に合致する雇用期間で労働契約を締結して雇用を安定させる契約内容とすること。
 ④ 雇い入れ後5年を超えて雇用されている労働者については、その申込みにもとづき無期雇用契約にされるようにすること。また、無期転換権発生前の脱法的雇止めは認めないこと。

(2)自治体の法令順守を求める要求
 ① 外部化された業務を厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)に基づいて点検し、職業安定法、労働者派遣法等に違反する実態がある場合は直ちに改善すること。
   その際、現に業務に従事している労働者が当該業務に就いた原因は自治体側にあることから、雇用責任を全うすること。
 ② 労働法規が適用されないシルバー人材センター会員(派遣を除く)を、「臨時、短期、軽易の業務」「労働者の雇用を侵食しない」とした高年齢者雇用安定法の趣旨を逸脱して従事させないこと。当面、従事する職務は「継続期間が3ヶ月以内の職」、かつ「1日6時間未満で交代就業の必要のない職」に限定すること。
 ③ 雇用労働者が従事すべき業務にシルバー人材センター会員を従事させていた場合は、本人の同意のもとに直接雇用に切り替えること。
 ④ 「派遣就業は臨時的・一時的なものであるべきとの基本原則」(2015年労働者派遣法改定時の国会附帯決議)を順守し、その趣旨をすべての職場に徹底すること。
 ⑤ 既に自治体で勤務実績を有する派遣労働者の派遣期間終了に当たっては、派遣元に対して、改定労働者派遣法に基づく実効ある「雇用安定措置」をとるよう求め、本人が自治体への直接雇用を希望する場合には直接雇用とすること。
 ⑥ 派遣可能期間を延長しようとする場合の労働組合等への意見聴取手続においては、意見を検討するための十分な考慮期間をおき、異議に対しては労使交渉により合意をはかること。
 ⑦ 新たに労働者派遣を受け入れる場合は事前に労働組合に説明を行い、合意のもとに実施すること。

Ⅴ 自治体が地域の労働関係の模範となるための要求

1.雇用・労働政策に関する要求

(1)政府への要請に関する要求
 ① 解雇規制を緩和する「解雇の金銭解決制度」導入、裁量労働制の拡大、雇用によらない働き方の推進は、国民の不安定雇用を拡大し、社会保障への依存を高める結果となることから反対し、雇用の安定化を政府及び関係機関に働きかけること。
 ② 長時間労働をもたらす「高度プロフェッショナル制度」の廃止、「裁量労働制」の対象拡大反対、労働時間短縮促進を政府及び関係機関に働きかけること。
 ③ 労働者の生存権保障、格差社会の是正のため、埼玉県最低賃金額を今すぐ「時間額1,000円」以上に引き上げ、産業別最低賃金制度の堅持・改善、全国一律最低賃金制度及び自治体産業別最低賃金制度を確立するように政府及び関係機関に働きかけること。

(2)自治体施策・姿勢に関する要求
 ① 憲法上の権利保障に関わる業務は自治体が直接責任を持って直営で行う原則を守ること。既に外部化した業務についても、雇用を維持した上で直営に戻すこと。
 ② 恒常的な業務における雇用は正規労働者が担う原則を守ること。民間委託、指定管理、労働者派遣の事業者に対しても自治体が背景使用者として責任ある対応をすること。
 ③ 民間委託、指定管理者制度、労働者派遣の受入れ等は、公務の公共性・専門性及び労働条件と深く関わるものであることから、労働組合との合意なしには導入しないこと。
 ④ 労働法令に関する職員研修を実施し、労働法令順守・労働安全衛生の向上と非正規・公共関係労働者への適正な対応ができる職場体制を整えること。
 ⑤ 公共サービス基本法制定や各地で進む「公契約条例」制定の動きに応えて「公契約条例」制定の取り組みに着手すること。
 ⑥ 地域・地場産業の支援策や中小零細業者への雇用促進につながる労働者支援施策を拡充し、内需を拡大すること。
 ⑦ 地域の労働者の雇用と生活を守り、地域経済を活性化する視点から「小規模工事契約希望者登録制度」や「住宅リフォーム助成制度」などの積極施策を行うとともに、国に対して支援策への財政負担を要請すること。

2.労働者・労働組合(職員団体)の権利に関する要求

(1)団結権、労働組合活動の自由保障に関する要求
 ① 労働組合の権利を尊重して誠実な交渉・協議を行うこと。労働条件の変更にあたっては労使合意を厳守すること。
 ② 正規、非正規を問わず、交渉準備活動など、労働組合の正当な時間内活動を保障すること。
 ③ 人事当局として、管理職員等の範囲については、労働組合法第2条、地方公務員法第52条第3項の趣旨を正しく適用し、「名ばかり管理職」については直ちに是正するとともに、恣意的な拡大を行わないこと。
 ④ 課長補佐職については、原則として管理職員等の範囲から除外すべきであることを見解表明すること。
 ⑤ 組合事務所、掲示板及びチェックオフ等の便宜供与は、職場活動と団結権保障の最低限の措置であり、労働組合法の定めに根拠を持ち、国際基準と長年の労使の合意をもって実施されてきた経緯を尊重して維持すること。
 ⑥ 自治体職員の政治的・市民的権利行使の自由を保障すること。地方公務員法第36条を十分理解し、その誤解等による職員への権利侵害行為には毅然と対応し、正しい理解を求めて説明すること。

(2)政府への要請に関する要求
 ① 憲法28条が保障している労働基本権をすべての自治体労働者に全面的に回復させるように政府及び関係機関に働きかけること。
 ② 憲法21条が保障する政治的・市民的自由を自治体労働者にも完全保障するように政府及び関係機関に働きかけること。
 ③ 消防職員に対して、ILO勧告にもとづいて無条件で団結権、協約締結権を保障するように政府及び関係機関に働きかけること。当面、消防職員委員会を充実させ、民主的運営を行うよう働きかけること。

Ⅵ 地方自治拡充と自治体が社会的責任を果たすための要求

1.憲法を暮らしと行財政に生かすための要求

(1)住民のくらし擁護に責任ある首長としての政府への要請に関する要求
 ① 現行憲法を堅持し、国民主権、恒久平和、民主主義、基本的人権の尊重、地方自治の理念などの憲法理念を国民の暮らしに生かすように政府及び関係機関に働きかけること。
 ② 「三位一体改革」によって縮減されてきた「地方財政計画」の規模を復元し、地方交付税の財源保障機能と財政調整機能を回復させる制度見直しを行うように政府及び関係機関に働きかけること。
 ③ 地方交付税法の趣旨・目的に反する「トップランナー方式」の導入(民間委託・指定管理などアウトソーシング「先進自治体」のコストで基準財政需要額を算定)、基準財政収入額の算定の見直し(税金徴収率上位3分の1の自治体を基準に算定)は行わないように政府及び関係機関に働きかけること。
 ④ 税率・税配分の見直し及び国から地方への一般財源の拡充で、ナショナルミニマムの達成に国としての責任を果たすように政府及び関係機関に働きかけること。
 ⑤ 国の財政誘導による自治体政策への介入をやめ、自治体の自己決定権を保障する地方財政の拡充を政府及び関係機関に働きかけること。
 ⑥ 国の役割を外交、防衛、危機管理等に限定し、社会保障、教育など国民生活に関わる責任を住民と自治体の「自己責任」「自己決定」に転嫁する「地方分権改革」・道州制に反対し、憲法に基づく民主的な地方自治制度を確立するように政府及び関係機関に働きかけること。
 ⑦ 自治体戦略2040構想研究会報告は、公務の産業化と地方自治の変質につながることから、推進しないよう政府及び関係機関に働きかけること。
 ⑧ 政府が進める「自治体デジタルトランスフォーメーション」は、住民への権利侵害や地方自治の侵害が懸念されることから、導入検討にあたっては以下の対応をすること。
  ア)自治体DXの導入によって、自治体職員の労働条件(業務内容や働き方を含む)に変更が生じることから、労働組合への適切な情報提供と労働条件に関することは労使合意を図ること。
  イ)自治体DXは、住民サービスの充実、基本的人権の擁護、住民福祉の増進を図り、自治体職員が「全体の奉仕者」の役割を発揮でき、職員の労働負担を軽減することを目的に活用すること。
  ウ)自治体が保有する住民の個人情報の取り扱いは自治事務であることから、地方自治の本旨に基づき、自治体が自主的に取り扱うこと。住民の個人情報の保護は、自治体の責務であり、個人情報の集約化、流用、外部への提供は行わないこと。
  エ)自治体DXの導入の是非及びその方法は、住民に情報公開をするとともに、住民合意の上で進めること。

(2)分権と住民参加の促進に関する要求
 ① 「三位一体改革」による自治体への影響やその後の財政悪化の背景を住民に分かりやすく公表すること。
 ② 住民参加による地方財政確立運動に取り組むこと。なお、当労働組合にも財政状況を説明する機会を設け、ともに財政確立に取り組むこと。
 ③ 埼玉県権限移譲方針にもとづく事務・権限移譲については、当該職場の職員の総意にもとづいて対応し、十分な職員体制を確保せずに安易な移譲受入をしないこと。
 ④ 「公共施設等総合管理計画」の実施については、職員の意見を反映させるとともに、住民に対する情報公開を徹底し、十分な時間をとり説明し、合意形成をはかること。
 ⑤ 公共施設の統廃合によって住民の権利保障を後退させないようにすること。

2.自治体が社会的役割を発揮するための要求
 ① 東日本大震災をはじめとした災害被災地の復旧復興は、被災者の生活と生業の再建、地元の中小業者、農林水産業者の経営再建を第一に行うよう政府及び関係機関に働きかけること。
 ② 復旧復興に関わる財源を国の責任で確保し、被災自治体への負担を軽くするよう政府及び関係機関に働きかけること。
 ③ 福島第一原発事故の原因を徹底究明し、政府の責任で汚染水対策、除染など原発事故の収束を進めるよう政府及び関係機関に働きかけること。
 ④ 各地で進みつつある原発再稼働をさせず、原発ゼロに向けて原子力行政を抜本的に見直し、再生可能エネルギーを温暖化防止、省エネとあわせて推進するように政府及び関係機関に働きかけること。
 ⑤ 低所得者ほど重い負担となる消費税増税に頼らずに社会保障を拡充させることを政府及び関係機関に働きかけること。
 ⑥ 地域経済循環を生かした経済振興を図るように政府及び関係機関に働きかけること。
 ⑦ 日本を戦争に巻き込む集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回、「安保法制」、「特定秘密保護法」及び「共謀罪法」の廃止を政府及び関係機関に働きかけること。
 ⑧ 憲法の地方自治原則否定のもとに強行されている沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をただちに中止するよう、政府及び関係機関に働きかけること。
 ⑨ 職員に憲法と地方自治に関する研修を実施・充実し、「全体の奉仕者」としてのあり方についての自覚を醸成すること。