憲法を仕事と暮らしに生かそう自治労連埼玉県本部日本自治体労働組合総連合

ここが問題!会計年度任用職員制度

※<自治労連の要求>の②③部分を更新しました(2023.8.1)
※<自治労連の要求>の③で病気休暇の解説を追加しました(2023.12.11)

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 2020年4月から施行された会計年度任用職員制度。自治体に働く非正規職員の雇用(任用)・労働条件を「適正なもの」にするとして始まりました。多くの皆さんが正規職員と同様の仕事をこなしているにもかかわらず、多くの自治体では、賃金も雇用(任用)も、自治体ごとにバラバラで、ちっとも良くなっていないというのが現実です。

 自治労連は、正規と非正規の職員が協力して、より良い制度を実現するために政府(総務省)と交渉したり、国で制度(法律)が決定されてからは、自治体ごとに、実際にどう運用するのかを交渉し改善させてきましたが、まだまだ足りません。

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<自治労連の要求>

自治労連は、次の3つについて、政府や自治体に働きかけを強めています。

①短期(数年)での雇止めを止め、安定雇用に

 自治体の多くが総務省のマニュアルなどにならい、最長3年(来年3月末が制度開始以来最初の丸3年目です)とか5年で雇止め・再公募を行うとしています。これは、①雇用不安で精神的に追い詰められる、②業務の専門性や継続性が確保できず職場のチームワークや信頼関係を壊す、と本人にとっても職場にとってもマイナス。だいたい、非正規労働者の雇用安定・処遇改善という政府の政策とも矛盾しています。
 私たち自治労連は、普通に仕事ができているのであれば、本人の希望により安定的に任用(雇用)を継続すべきと考えており、少なくない自治体で最長期限を撤廃させています。

②期末手当に加え、勤勉手当の支給を

 「国の機関では出ている勤勉手当を自治体でも支給すべき!」全国の会計年度任用職員の皆さんと一緒に、自治労連も声をあげてきた問題で、この5月(2023年)に改正地方自治法が公布され、パートタイムを含む会計年度任用職員に来年度から支給できることになりました。共同した運動の大きな成果です。
 でも、法律には「出さなければならない」とは書いてありません。本当に来年度から正規職員と同じ月数で支給させる、「人事評価」で職員間に差別支給を持ち込ませない、さらには、今年12月から前倒し支給を実現するためには、各自治体での取り組みを今まで以上に強める必要があります。

 改正地方自治法に関する総務省通知は⇒

③毎月の給料や手当、勤務時間、休暇制度等の改善を

 公務員の賃金は、民間企業との比較で公務が低かった場合には、その年の4月にさかのぼって引き上げられるのが通例です。政府・総務省は、改めて会計年度職員についても4月にさかのぼって支給するよう地方自治体に通知しています。自治体当局が財政状況等を理由に支給を遅らせることの無いようにしなければなりません。

 給与改定時の取扱いについての総務省通知は⇒

 また、新型コロナウイルスによる感染が未だ完全に治まったとは言えない状況の中で、正規職員同様の病気休暇の制度化も急務です。

◆会計年度任用職員の雇用の安定や賃金(一時金)にとって、法律で定められている「人事評価」について、どう考え、どう運用するのかは大事な問題です。
 自治労連埼玉県本部では、2021年に「年度任用職員人事評価制度に関する自治労連埼玉の提言」を発表し、各自治体にその実現を求めています。

 あなたも私たちの労働組合に加わり、他の自治体の仲間と一緒に要求を実現しましょう。
あなたの職場に労働組合がなければ、一人で加入できる労働組合もあります。

<改正地方自治法に関する総務省通知>
 総務省は2023年5月8日、「地方自治法の一部を改正する法律の公布及び施行について」を地方自治体宛に出しました。これには、法改正によって①パートタイムの会計年度任用職員に勤勉手当が支給できるようになったこと、②フルタイム職員についても「勤勉手当は支給しないことを基本」としていた総務省マニュアルの改定を予定するとしました。
 さらに総務省は、6月9日に「地方自治法の一部を改正する法律の・・・運用について」を出し、○支給率・支給方法等は正規職員との権衡を踏まえる、○単に財政上の理由から勤勉手当の抑制や新たな給料や期末手当の抑制は改正法の趣旨に沿わないとしたほか、人事評価の実施についても言及しました。

<給与改定時の取扱いについての総務省通知>
 総務省は2023年5月2日、「常勤職員の給与改定が行われた場合における会計年度任用職員の給与に係る取扱いについて」として、以下について地方自治体に通知しました。
 「改正により常勤職員の給与が改定された場合における会計年度任用職員の給与については、改定された常勤職員の給与の種類その他の改定の内容及び当該会計年度任用職員の任期、勤務形態等を考慮の上、改定の実施時期を含め、当該常勤職員の給与の改定に係る取扱いに準じて改定することを基本とする」

<コロナでも安心して休める有給の病気休暇を!(ミニ解説)>

 感染症には、新型コロナウイルスだけでなく季節性インフルエンザやノロウイルスなど多くの感染症があります。感染症にかかった場合、正規職員は90日ある有給の病気休暇で休むことができます。しかし、会計年度任用職員の病気休暇は、あっても無給(10日間)で、導入していない自治体もあるでしょう。

 年休が残り少なければ欠勤することにもなりますが、欠勤すれば勤務評価に影響しかねず雇止めとなる危険も生じます。感染症にかかっても、安心して休むことのできる有給の病気休暇は、会計年度職員の切実な願いです。

 新型コロナの5類への移行に伴って出された文科省通知に基づく対応ガイドライン(改訂版)では、「校長は、(略)、感染者が教職員である場合は、病気休暇等の取得や在宅勤務、職務専念の義務の免除等により出勤させないようにしてください。」となっています。また、子ども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」(改訂版)でも、保育所職員が感染した場合について同様の趣旨の対応が示されています。

 感染症への対応は、「職場での感染を防止する」ための安全衛生の問題であり、使用者の安全配慮義務の問題です。感染症にかかった場合に職員の取るべき行動や職場が取るべき対応についてルール化(明文化)し、会計年度任用職員も正規職員と同じように安心して休める有給の病気休暇(90日)の制度化するのは当然のことです。すぐに有給の病気休暇が無理な場合でも、有給の感染症特別休暇又は職務専念義務免除の導入を求めましょう。

 給食職場では、ノロウイルスなど出血性胃腸炎にかかった場合についても、「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針」(ガイドライン)を参考に有給の病気休暇等とともに、保菌検査費用の当局負担を求めましょう。

 有給の病気休暇がないのは差別そのものです。ルール化することで正規と年度職員の休暇差別が明確になります。今や、自治体職員の約半数が年度職員です。力を合わせて声に出すことで実現は可能です。