機関紙「埼玉の仲間」666 ここがポイント!秋の運動
<ポイントは3つ>
①正規も非正規も、若いも中高年も、再任用も~暮らし守る賃金改善運動へ
○給料表構造のトリック…給料アップ、でも定昇幅ダウン
②人員と体制強化で健康守れる職場へ…労働基準法は最低の「基準」
③要求は“自粛しない”ことが大切~賃金は低迷 でも内部留保は順調増加
①正規も非正規も、若いも中高年も、再任用も~暮らし守る賃金改善運動へ
8月の消費者物価は総合指数で前年同月比2・8%上昇(総務省)と、三十年ぶりの高水準に。年末にはさらに上昇が見込まれます。
◆食料・飲料製品(2万品目)続々値上げ◆
一方、民間賃上げは2・2%(厚労省)。人勧にいたっては0・23%です。国が決めること、とあきらめたらダメ! 自治労連は「秋の重点再要求」を提出し、暮らしを反映した回答を求めています。
だから要求 誰でも最賃を反映した5千円を
政府は電気・ガスなどの値上がり対策に財政投入を表明しています。でも、賃上げで暮らしを守り、地域経済循環を拡大した方が得策ではないでしょうか。
ところが、8月の人事院勧告は、
① 春期の民間賃金との比較をするだけで、今回のような異常事態に対応できる仕組みにはなっていません。
② しかも、30代半ば以降は改善ゼロなんておかしいでしょ。
③ 若年層は若干上がるものの、後述(下表)のとおり毎年の定期的昇給額が削られるので、10年で元に戻ってしまいます。
④ 今後も同様の仕組みで、定年引上げを見据えて現在の7割水準に「給与制度をアップデートする(実はダウングレード)」などと逆説で本心を明かしており、若年層には将来の重大問題です。
⑤ かろうじて正規は勤勉手当が0・1カ月上がったものの、勤勉手当のない会計年度任用職員には0・1増は反映されません。
こんな異常事態に対応できない制度のままで今年の給与改定を進めるわけにはいきません。
各自治体の人事担当が、社会状況を認識し、首長・幹部職員の決断を促し、これまでとは異なる給与改定にとりくむことを求めます。
そのためにも、組合員・職員のみなさん「生活を守れる給与改定を!」の職場の声をひろげましょう。
◆人事院勧告制度の欠陥は、日本経団連の21世紀政策研究プロジェクト『中間層復活に向けた経済財政運営の大転換』でさえ「マクロ経済に大きな負の影響をもたらしている」と見直しを提言する時代に変化しています。
今年の人事院勧告の引上げは1級~5級の一部だけ。この方式が続くとどうなる?
表の一番上の「給料A」で、現在1号給の231,500円の人は234,400円にベースアップします。
さらに来年1月か4月(自治体で違う)に「定期的昇給」があって、現在の給料表なら5号給の237,600円になる予定が、ベースアップで240,300円になるのが昇給制度です。
1年間に定期的昇給する額は5号給から1号給の間差額を減じた「間差額B」又は「間差額D」になるのでBとDを比べてください。アレ? 6,100円が5,900円に200円減っている!
そうなんです。30代半ば以降を引上げしない(37号給以降はゼロ)結果、給料Aの37号給の289,000円のところまででベースアップ分の2,900円が「減額吸収」されてしまう給料表の改定が今年の人勧なのです。つまり! せっかく上がっても、毎年の定期昇給分が削られているので、結局は元の水準に戻されてしまいます。
②人員と体制強化で健康守れる職場へ…労働基準法は最低の「基準」
職員の健康を守る課題も秋の重要課題です。
左表は昨年(度)、市部で「最長時間外労働を行った職員の時間数」(埼玉県労働組合総連合への回答)です。労働基準法では年720時間超は違法ですが、市部で28市あり、改善促進のためにあえて掲載しました。
複数月80時間超、単月100時間以上も違法で、かつ、脳・心臓疾患の発症時には公務災害の認定対象とされます。月100時間以上は40市のすべてに該当者がいました。複数月80時間超は37市に該当者がいる、恐るべき事態です。
「コロナ対応」との説明もありそうですが、「コロナ対応」で職員が命を落としたり、その後の人生に支障を生じる疾病に陥ってしまっては、人の幸せを実現する「公務労働」とは異なる事態です。本人ばかりか家族・周囲の人を不幸におとしいれてしまいます。
これらは本人の責任ではなく、明らかに使用者・当局の責任です。どんな事態にも対応できる職員増員、必要な労働時間管理を要求して運動・交渉しましょう。
③要求は“自粛しない”ことが大切~賃金は低迷 でも内部留保は順調増加
9月の財務省発表で、昨年度の企業の内部留保額が516兆5千億円(前年比6・6%増)と、過去最高を記録したことが分かりました(大企業だけだと484兆円)。
このことを朝日新聞が報道しました。内訳は「資本金10億円以上で5・9%増、1千万円未満は3・6%減」で、円安の恩恵を受けた大企業製造業を中心に、内部留保が積み上がったそうです。
内部留保(利益剰余金や引当金)については「経済成長や企業を守るのに必要」「コロナ下の資金繰りに必要」と言われてきました。その側面はありますが、世界の先進国が実質賃金で20%以上増加しているのに、日本は10%の下落の事実は隠しようがありません。
片寄ったため込みが、労働者の賃金や中小企業経営を脅かす一方で、貧富の格差を拡大させ、国・地方財政にも負担がかかっているのが現状です。
公務員賃金引上げや人員増が経済活性化に役立つことは日本経団連プロジェクト報告でも示されています。
国・総務省、市町村課のシバリなど障害はあります。しかし、、組合員・職員が要求をためらって「自粛」しては改善は進みません。
また、当局も国の動向などを理由に改善に後ろ向きでは「富の偏在の是正」にむけた自治体の積極的な役割りも果たせません。
自治労連は、「出すべきところが出す」社会的正義の実現をもめざします。
暮らし・健康・働きがいで声を出せるのが労働組合
生活費高騰は誰もが「実感」と思います。それなのに例年の人事院勧告に依存した給与改定では職員の現在も未来も守れません。
正規、会計年度、委託・指定管理すべての労働者が、要求で声を出せるのが労働組合です。
あなたも組合に加入して、ご一緒に!